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バイクの慣らし運転は必要?失敗しない方法や中古車でもやるべき理由を解説
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新しいバイクを購入したら「慣らし運転」をした方がいい、と一般的にはいわれています。
しかし「最近のバイクは慣らし運転なんてしなくても大丈夫!」という意見があるのも事実です。
そのため「必要なの?しなくてもいいの?どっち?!」と迷ってしまうバイク初心者の方も多いようです。
そこで今回は、バイクの慣らし運転の必要性やメリットについてご紹介していきます。
慣らし運転の方法と合わせて、失敗しないためのポイントなどもまとめました。
そもそも慣らし運転は何のために行うの?どんな効果がある?
慣らし運転のやり方がよくわからない
中古バイクの場合は慣らし運転しなくてもいいよね?
このような疑問、お悩みにお答えしていきます。
バイクを買ったばかりの初心者ライダーの方や、これから購入を予定しているという方は、ぜひ参考にしてみてください。
慣らし運転が終わってからするべきことについても解説するよ!
バイクの慣らし運転の目的
バイクの慣らし運転にはきちんとした目的があり、正しく行うことで様々なメリットを得ることができます。
まずは、なぜ慣らし運転をするのか、目的を理解しておきましょう。
バイクの慣らし運転の目的は、エンジンの性能を100%発揮できるように「最高のエンジン」に仕上げること、そしてバイクの寿命を延ばすことです。
具体的には主に次の3つが挙げられます。
- エンジン内部のパーツ同士を馴染ませる
- 車体の各パーツ同士を馴染ませる
- 初期不良をチェックする
それぞれ簡単に説明していきます。
エンジン内部のパーツ同士を馴染ませる
慣らし運転には、エンジン内部のパーツ同士を馴染ませるという目的があります。
エンジンには多くの金属パーツが使われていますが、新車の場合はパーツ同士が馴染んでいない状態です。
新品の金属パーツは角が立っており、表面には細かなバリ(金属加工の工程で発生するトゲ)があります。
この状態でいきなり高回転走行をしてしまうとパーツ同士がダメージを与えあってしまうため、慣らし運転をしてパーツ表面を少しずつ滑らかな状態にしていくのです。
すると、パーツ同士の摩擦による抵抗が減ってエンジンの動きがスムーズになり、エンジン本来の性能を発揮できるようになります。
慣らし運転で金属パーツ同士をなじませることを『エンジンにアタリを出す』とか『アタリをつける』とも言うよ
また、エンジンの部品には金属や樹脂などさまざまな素材が使われています。
エンジンの温度変化による膨張収縮の仕方は素材によって異なります。
慣らし運転をすることで、異なる素材同士を馴染ませることもできます。
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車体の各パーツ同士を馴染ませる
慣らし運転にはエンジン以外の各パーツ同士を馴染ませる目的もあります。
バイクの車体には様々なパーツが使われていて、エンジン内部と同様にパーツ同士が接触している箇所が数多くあります。
例えば、サスペンションやブレーキディスク、スイングアーム(リアアーム)、各ベアリングなどが挙げられます。
金属パーツ同士をなじませておくことで摩擦による抵抗を減らせるのはエンジンと同じです。
その結果、本来の性能を発揮できるようになるのはもちろん、各パーツの寿命を延ばすことにもつながります。
初期不良をチェックする
慣らし運転には「バイクの初期不良のチェック」という意味合いもあります。
新車には新品パーツが使われていて、プロによって組み立てられていますが、ぜったいに初期不良が起こらないとは言い切れません。
ラジエーターからクーラントが漏れる、ガソリンやオイルが漏れるなどの不具合が出る可能性もあるのです。
また「初期ゆるみ」といって、ネジやボルトなどが振動によってゆるんでくることもあります。
初期不良に気づかずに乗り続けていると、バイクの寿命どころか自分の寿命を縮めてしまいかねません。
安全性を確認するという意味でも、新車バイクは慣らし運転からスタートするとよいでしょう。
バイクの慣らし運転の3つのメリット
バイクの慣らし運転をしっかりと行うことで、次のメリットがあります。
- バイクの寿命が延びる
- タイヤの皮むきもできる
- ライダーがマシンに慣れることができる
ひとつずつ簡単にみていきましょう。
バイクの寿命が延びる
慣らし運転のメリットのひとつは、バイクの寿命を延ばせることです。
丁寧にパーツ同士を馴染ませると接触する面がなめらかになり、ぶつかり合うことによるダメージや編摩耗の発生を抑えることができます。
結果として各パーツがスムーズに動くようになり、パーツへ伝わる振動も減少するため、パーツの寿命が延びる=バイクの寿命が延びるのです。
また、万が一初期不良があっても慣らし運転の段階で気づくことができます。
早い段階で対処することで、マシントラブルのリスクを大幅に減らせるでしょう。
タイヤの皮むきもできる
慣らし運転をすると「タイヤの慣らし走行」つまりタイヤの皮むきを同時に済ませることができます。
タイヤの皮むきとは、新品タイヤの表面についている膜(離型剤などの薬品)を落としてすべりにくくする作業のことです。
基本的にタイヤの皮むきは、「急」のつく動作を避けて数10㎞程度走行すればよいので、慣らし運転をしているうちに皮むきは完了します。
また皮むきには、グリップ力を上げてタイヤ本来の性能を発揮させるという目的がありますが、タイヤに含まれている老化防止成分を表面ににじみ出やすくさせることも目的のひとつです。
バイクの慣らし運転は、バイクとタイヤそれぞれの性能を発揮させると同時に、タイヤの寿命を延ばすためであるともいえるでしょう。
ライダーがマシンに慣れることができる
慣らし運転の3つ目のメリットは、ライダー自身が新しいバイクになじめることです。
例えば、ハンドル幅やシート高、足つき性、またがったときの姿勢、スロットルの開き具合に対するレスポンス、クラッチやブレーキの感覚などは、バイクによって大きく異なります。
慣らし運転をしながらマシンの特性を把握すれば、より早く愛車に慣れることができるでしょう。
また、一般的な慣らし運転の距離である「800㎞〜1,000㎞」は、新しいバイクに慣れるのにちょうどいい距離といえます。
走行距離が長くなるにしたがって、バイクとの一体感を感じられるようになりますよ。
教習所のバイクしか乗ったことがないから緊張しそう
バイク初心者であれば、慣らし運転中は教習所のバイクとの違いを体で覚える期間ともいえるね
バイクの慣らし運転はするべき?中古車はしなくてもいい?
バイクの慣らし運転は必要か、しなくても問題ないのか、これは意見が分かれるところです。
ここではバイクの慣らし運転の必要性と、慣らし運転をしたほうがよいバイクについてみていきましょう。
慣らし運転をするかしないかは個人の自由である
慣らし運転をするかしないかは、完全に個人の自由です。
慣らし運転は法律で義務づけられているものではありませんし、慣らし運転をしないからといってバイクがすぐに故障するということもありません。
また、慣らし運転が必須といわれていたのは数十年前の話です。
近年では金属加工技術の精度が格段に向上しているため、慣らし運転の必要性はそう高くないといえるでしょう。
しかし、慣らし運転をすることでバイクの性能を最大限に発揮させられることは確かです。
愛車のエンジンパフォーマンスを高めたい、初期不良などのリスクを回避して寿命を延ばしたいという方は、まず慣らし運転から始めることをおすすめします。
慣らし運転は各大手メーカーが「推奨」している
大手バイクメーカー各社は新車バイクの慣らし運転を推奨しています。
以下に、各バイクメーカーの見解を簡単にまとめました。
HONDAの場合
HONDAの公式サイトでは以下のように説明されています。
適切な慣らし運転を行うと、その後のお車の性能をより良い状態に保つことができます。500kmを走行するまでは急発進、急加速、急ブレーキ、急なシフトダウンを避け、控えめな運転をしてください
(※50㏄以下のバイクは走行距離100kmまで)
Kawasakiの場合
Kawasakiの公式サイトには、以下のように明記されています。
最初の1000kmを走行するまでは慣らし運転をしてください。慣らし運転を行うと車の性能を維持し寿命を延ばします
(※排気量や車種により慣らし運転の方法は異なります)
YAMAHAの場合
YAMAHAでは次のようにしています。
新車の使い始めにはならし運転を行ってください。ならし運転の方法は車種により異なります。詳しくは取扱説明書をご確認ください
(※取扱説明書には、「初回の1ヵ月(または1000km走行時)の点検までは、慣らし運転をしてください。不要な空ぶかしや急加速、急減速はしないでください。慣らし運転を行うと車の寿命を延ばします」などと記載されています)
SUZUKIの場合
SUZUKIのバイクでは次のようになっています。
ならし運転を行うと車の寿命を延ばします。最初の1,000㎞を走行するまではエンジン回転5,000r/min以下で走行してください
どのメーカーも強制はしていない
どのバイクメーカーも、「慣らし運転をしないと故障しますよ!絶対にしてくださいね!!」という表現はしていません。
しかし、各メーカーが公式サイトなどで「慣らし運転をすると寿命が延びますよ、慣らし運転したほうがいいですよ」と『推奨』しているところを見ると、慣らし運転の必要性は高いといえるでしょう。
なおBMWなどの新車には、慣らし運転用に「粘度が低く低温時でも柔らかいオイル」が使われています。
低粘度のオイルは高回転域での走行には向いていないため、低回転域〜中回転域メインで丁寧に走る慣らし運転から始めることが大切です。
※初回点検のときに本来の粘度が高い硬いオイルと交換することになります。
中古車も慣らし運転をすると安心である
中古バイクを買ったときも慣らし運転をした方が安心といえます。
中古車でもあなたにとっては「新しい」バイクであることに違いはないからです。
中古バイクの場合、初期不良が発生したり、各パーツ同士がなじんでいなかったりする可能性は低いのですが、ライダーがバイクになじむ期間として慣らし運転から始めてみてください。
ただし、中古バイクの中には、展示車のようにほとんど乗らないまま売りに出されたバイクもあります。
その場合は新車バイクと同じように、丁寧に慣らし運転をするとよいでしょう。
中古バイクでも新品タイヤを履いていることがあるんだ。その場合は皮むきも兼ねて軽く慣らし運転から始めるといいよ
パーツ交換時やエンジンのオーバーホール時も慣らし運転しよう
バイクのパーツ交換やエンジンのオーバーホールをしたときなども、まずは慣らし運転をすることをおすすめします。
慣らし運転の目的のひとつは各パーツ同士をなじませることだからです。
例えば、ブレーキやクラッチまわり、チェーンなどのパーツを交換したとき、サスペンションやエンジンの調整、オーバーホールをしたときなど、500㎞程度でもよいので慣らし運転すると安心です。
不安な方はバイクショップなどで相談してみるとよいでしょう。
排気量の小さいギアのないバイクも慣らし運転したほうがいいの?
慣らし運転をすると、排気量の大きいバイクほど馬力に差が出るといわれているんだ。でもどんなバイクでも丁寧に慣らし運転をすると長持ちするよ
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バイクの慣らし運転の期間はどのくらい?保証期間もチェック!
慣らし運転の期間は「走行距離1,000㎞など各メーカーが推奨する距離を走り終えるまで」あるいは「新車バイク購入(登録)から1ヵ月」を目安にするとよいでしょう。
なぜかというと、走行距離が1,000㎞になったとき、あるいは新車バイク購入・登録から1ヵ月経った時点で「初回点検・整備(任意)」を受けることが推奨されているからです。
初回点検では、実走行後のバイクに不具合がないかの点検、調整や整備を行います。
各メーカーが定める期間(登録から50日間など)内であれば、初回点検は基本的に無料です。
それなりに時間がかかるという点を除けば、初回点検にはメリットしかありません。
できるだけこの期間内に慣らし運転を済ませておくことをおすすめします。
オイル交換やブレーキパッド交換などは有償だから確認しておこう
しかし、せっかく新車バイクを買っても、慣らし運転を始められない、なかなか1,000㎞までいかない・・・となる可能性もあります。
「初回点検のときに走行距離が極端に短かったから不安」という方は、保証期間内にもう一度愛車の点検をしてみるとよいでしょう。
保証期間内であれば、万が一不具合やトラブルが発生したとしても無償で修理をしてもらえます。
メーカーにより異なりますが、一般的な保証期間は2年間です。
ただし、必要最低限の点検を行っている、消耗品以外のパーツであるなど「保証対象」でなければいけません。
バイクの保証書をしっかり確認し、バイクを購入した店舗などで詳しく聞いておくと安心です。
バイクの慣らし運転の方法は?マニュアルのチェックも忘れずに!
ここからはバイクの慣らし運転の具体的な方法について解説していきます。
初心者の方におすすめの一般的な慣らし運転の方法と、各メーカー推奨の方法についてまとめました。
「慣らし運転ってどうすればいいの?」という方はぜひ参考にしてください。
一般的な慣らし運転の方法
一般的な慣らし運転では、走行距離に応じた回転数で走ります。
初めから回転数を上げていくのではなく、段階的に回転数を上げていくのです。
例えば、慣らし運転で1,000㎞走ると想定した場合、以下のようなイメージで走ると失敗しにくくなります。
走り始め~100㎞まで
エンジンとタイヤを温めて走り出したら、回転数をレッドゾーンの1/3~1/2程度に抑え、エンジンに準備体操させる感覚で走ります。
この段階では初期不良のチェックも兼ねているので、万が一の際に備えて走行ルートをしっかり調べておくとよいでしょう。
100㎞ほど走ったら一旦バイクを停めて、エンジンとライダーの休憩タイムにしてみてください。
温まったエンジンを少し冷ましてあげることで、さまざまなパーツ同士がなじみやすくなります。
だいたいどのくらいの回転数で走ればいいの?
例えば、レッドゾーン=エンジンの回転上限が12,000rpmのバイクなら、4,000rpm~6,000rpmくらいを目安にするといいよ
100㎞~200㎞まで
回転数をレッドゾーンの1/2程度に抑え、丁寧にシフトチェンジをしながら、ライダー自身の「慣らし」という感覚で走ります。
できる限りすべてのギアをまんべんなく使い、減速時は適度にエンジンブレーキも使いましょう。
回転数を抑えるといっても、極端に低速走行する必要はありません。
スロットルワークを丁寧に行い、「少しずつ開いていく・戻していく」を意識してのんびり走るのがポイントです。
200㎞~500㎞まで
回転数をレッドゾーンの1/2、あるいは1/2をやや超える程度にし、徐々にエンジンに負荷をかけながら走るようにします。
少しずつスロットルを開く回数を増やすようなイメージです。
500㎞程度走ると「シフトチェンジがスムーズになった」「スロットルを開けたときのエンジンの反応がよくなった」というような感覚を得られることもあります。
この段階まで来たら慣らし運転はほとんど終了に近いです。
※次にエンジンをかけるときは、先にガソリン残量とタイヤの空気圧チェックもしておくと安心です。
500㎞~1,000㎞まで
走行距離が500㎞を超えたら、レッドゾーン近くまで回転数を上げても問題ありません。
ただし、急激にスロットルを全開にするのではなく、「少しずつ開いていく」ことが大切です。
また、排気量によっては回転数を上げるとそれなりの速度で走ることになります。
なるべく信号が少なく、渋滞しにくいルートを選んでみてください。
なお、ここでいう100㎞や300㎞というのはあくまでも目安にすぎません。
初心者の方であれば、走行ルートを決めるときに出発地点からの距離をチェックしておくと走りやすくなります。
何㎞程度走るかあらかじめ考えておくとよいでしょう。
タコメーターがないバイクの慣らし運転はどうすればいいの?
マニュアルに速度に対する適切なギアについて載っている場合はそれを参考にしよう。ギアのないバイクはフルスロットル走行を避けて、1/2~1/3くらいの開き具合で穏やかに走るのが基本だね
メーカー推奨の慣らし運転の方法
バイクの慣らし運転の方法は、バイクメーカーや排気量によって若干異なります。
そのため、正確な方法を知るには、マニュアルを確認することが大切です。
例えば、HONDAのバイクの場合、排気量50㏄のバイクは走行距離100㎞まで、それ以上のバイクは500㎞まで「控えめな運転」をするとあります。
YAMAHAやSUZUKIのバイクでは、走行距離1,000㎞まで(あるいは初回点検まで)は車種ごとに推奨している回転数で走ることとなっていました。
Kawasakiのバイクの場合はかなり細かく指定されていて、399㏄以下のバイクと400㏄以上のバイク、特定の車種(Ninja ZX-25R)では条件が異なっています。
また、ハーレーダビッドソンの場合は、800㎞までは3,000回転以下で下道を走行、800㎞の時点で点検(オイル交換)することが推奨されています。
さらに細かく慣らし運転について指定しているのはドゥカティです。
1,000㎞まで6,000回転以下、2,500㎞までは7,000回転以下としているのですが「1,000㎞まではタコメーターに注意し、決して5,500~6,000rpmを超えないように」「2,500㎞までは決して7,000rpmを超えないように」してくださいとあります。
いずれにしても、マニュアルをしっかり確認することが重要です。
それでも分かりにくいと感じたら、バイクを購入したショップでおすすめの慣らし運転について聞いてみましょう。
※慣らし運転中にエンジンの回転数が上がり過ぎないように、レブリミッターでコントロールできるモデルもあります。
バイクの慣らし運転の「失敗」とは?で失敗しないためのポイントも解説
ここではバイクの慣らし運転で失敗しないためのポイントについて解説していきます。
慣らし運転の「失敗例」も合わせてまとめました。
慣らし運転で失敗しないためのポイント
バイクの慣らし運転で失敗しないためのポイントは主に以下の5つです。
- エンジンの回転数を抑えた走り方をする
- 急のつく操作を避ける
- 極端な短距離走行・長距離走行をしない
- 各ギアをまんべんなく使う
- 神経質になりすぎない
それぞれ簡単に説明していきます。
エンジンの回転数を抑えた走り方をする
慣らし運転で失敗しないためのポイントのひとつは、エンジンの回転数を抑えて走ることです。
初めから高回転域ばかり使って走ると、エンジンに大きな負荷をかけることになってしまいます。
パーツ同士を少しずつなじませるためにも、適切な回転数であるか意識しながら走ってみてください。
人間でもいきなり猛ダッシュすると心臓に悪そうだよな・・・
運動不足の人ならなおさら体のあちこちに負担をかけるだろうね。エンジンに負荷をかけやすい空ぶかしも控えよう
ただし、回転数にこだわり過ぎてノッキングを起こすほうがよほどエンジンにダメージを与えます。
一時的なら回転数が上がってしまっても大丈夫なので、あまり神経質にならないようにしましょう。
急のつく操作を避ける
慣らし運転中は、急加速、急発進、急ブレーキ、急なシフトダウンなど「急」のつく操作をできるだけ避けることも重要なポイントです。
これらの操作もバイクに負荷をかけることになるので、ゆったりと穏やかな走り方を心がけてください。
慣らし運転はタイヤの皮向きも兼ねています。
新しいタイヤは滑りやすいため、危険回避などの緊急時以外は急ブレーキや急ハンドルを避けて運転しましょう。
極端な短距離走行・長距離走行をしない
バイクの慣らし運転では、極端に短い距離や長い距離を走るのではなく、適度な距離を走る必要があります。
なぜかというと、短距離走行では各ギアをまんべんなく使う機会がほとんどないからです。
さらに走行距離が短いと、エンジンが十分温まる前に走り終えてしまうことになるので「慣らし」になりません。
逆に最初から長距離を走るとバイクに負担をかけやすくなるため、途中で休憩を挟むなどの工夫をしてみてください。
最低でも20㎞、長くても100㎞程度を走行距離の目安にするとよいでしょう。
また、早く慣らし運転を終わらせたいからと、高速道路を使って一気に1,000㎞走ってしまうやり方もおすすめできません。
高速道路では比較的単調な走り方をするので、シフトチェンジや減速する機会が少なく、同じような回転数で走り続けることになるからです。
慣らし運転は走りやすい下道で行うことをおすすめします。
速度は落とした方がいいの?
流れにのって法定速度を守って走ればOKだよ。速度よりも回転数を上げ過ぎないように注意しよう
各ギアをまんべんなく使う
慣らし運転にはミッションの慣らしという目的もあるので、低速ギアから高速ギアまでまんべんなく使うことが大切です。
使用するギアが限られていると、使っていないギアがなじみません。
そのためにも、それなりにシフトチェンジの機会がある下道で慣らし運転するのがおすすめです。
ただし排気量によっては、下道では高速ギアまで使えない可能性もあります。
その場合は交通量が少なく、ある程度速度の出せるワインディングロードを走ってみてはいかがでしょうか。
神経質になりすぎない
慣らし運転にはいくつもの注意点やポイントがありますが、かといって神経質になる必要はありません。
- 回転数を抑えなければいけないのにうっかり上げてしまった
- 天候が悪化して予定より短い距離しか走れなかった
というように、走っていれば色々なことがあるでしょう。
一瞬だけ回転数を上げてしまったとしても、エンジンがすぐにダメになることはありません。
走行距離が短かったのなら改めて走り直せばいいのです。
また、慣らし運転中は各パーツ同士、そしてライダーとバイクがなじんでいないため、燃費が悪くなることがあります。
パーツ同士がなじみ、ライダー自身がバイクに慣れて無駄なスロットルワークがなくなれば、燃費が向上してくるでしょう。
ある程度の時間(日数)をかけて焦らず丁寧にバイクを慣らしていく、そんな気持ちで慣らし運転をしてみてください。
バイク初心者なら無理をせず、1日に100㎞~200㎞くらいから始めるといいよ
慣らし運転の失敗例とは?
慣らし運転を終えたあとにありがちなのは次のような失敗です。
- 慣らし運転後にいきなりスロットル全開で走行した
- 慣らし運転時の走り方がクセになって高回転域まで回せない
- 点検やオイル交換を怠った
このような行為はエンジンにダメージを与えてしまう可能性があります。
慣らし運転後も丁寧なスロットルワークとシフトチェンジを心がけ、エンジンに「少しずつ」負荷をかけることが大切です。
また、慣らし運転が終わってからもつい回転数を抑えた走り方(低回転域での走行)をしてしまう、という方も少なくありません。
低回転域でばかり走っていると、混合気(ガソリンと空気)の不完全燃焼によりカーボン(煤)の発生量や堆積量が増えてしまいます。
できるだけカーボンの発生・堆積を減らすためにも、中回転域~高回転域も使って走るようにしましょう。
低回転域で走ることだけがカーボンの堆積の原因ではないけど、適度に回転数を上げることも大事だよ。それから、高速ギアなのに回転数が低いとノッキングを起こしやすくなるから注意しよう
※慣らし運転後の点検やオイル交換については次の項で説明します。
バイクの慣らし運転をしたあとは何をすればいい?
バイクの慣らし運転をしたあとは愛車のメンテナンスを行い、エンジンに急激に負荷をかけないように走るのが基本です。
ここでは、慣らし運転後に受ける「初回点検」やオイル交換の必要性、慣らし運転が終わってからの走り方について説明していきます。
初回点検
慣らし運転の後(走行距離が1,000㎞になったとき、あるいは新車バイク購入・登録から1ヵ月経った時点)には「初回点検」を受けることが推奨されています。
一般的な初回点検の項目は以下の通りです。
- エンジン
- 動力伝達装置(クラッチ・チェーンなど)
- ブレーキ装置
- 走行装置(タイヤ・ホイールなど)
- 定期交換部品
初回点検では、プロの整備士がこれらの項目をベースにバイクを点検・整備していきます。
チェーンの張り具合やボルト類のゆるみ、アイドリング時の回転数、オイルやガソリン、クーラントの漏れ、タイヤの空気圧など、愛車をすみずみまでチェックしてくれますよ。
また「エンジン」の点検項目にはエンジンオイルも含まれていて「定期交換部品」の項目にある「エンジンオイルとフィルターの交換」を行うのが一般的です。
なお、初回点検自体は無料ですが、オイルやブレーキパッドなどの消耗品および交換については有料となります。
エンジンオイル交換の必要性
新車バイクの初回点検ではエンジンオイルとオイルフィルターの交換を行うのが一般的ですが、これはエンジンやミッションなどを守るためです。
新車バイクの場合、慣らし運転中は金属パーツ同士が「削り合っている」状態なので、オイルに金属粉が混じりやすくなります。
金属粉や汚れが混じったオイルを使い続けていると、エンジンやミッションなどさまざまな部位にダメージを与えるため、初回点検での交換が推奨されているのです。
また、オイルが汚れていれば、当然のことながらオイルフィルターにも金属粉や汚れが詰まっていることになります。
フィルターの汚れや目詰まりもエンジンなどにダメージを与えてしまうので、フィルター交換も忘れずに行うことが重要です。
なお初めてのオイル交換(オイル選び)では、各メーカーが指定しているオイル粘度を守ると失敗しにくくなります。
オイル選びで不安な場合はバイクショップで相談してみてください。
慣らし運転中に違和感があった場合も、初回点検のときに必ず相談しておこう
慣らし運転後のおすすめの走り方
慣らし運転では回転数を抑えた走り方をするのが基本でしたが、今度は「段階的に」回転数を上げていきます。
いくら慣らし運転が終わっているといっても、急激に高回転域まで引っ張るとエンジンにダメージを与えかねないからです。
また、バイクによっては速度が出すぎる可能性が高く、特に大型バイクの場合は思った以上にスピードが出てしまうことがあります。
「様子を見ながら走行距離に応じて少しずつ」回転数を高めて行くことがポイントです。
例えば、慣らし運転で1,000㎞まで走ったら、次の100㎞までは回転数を1,000rpm高くしていくというように、走行距離を目安にすると走りやすくなります。
ただし、高回転域ばかり使って走るのはNGです。
追い越し時や急な上り坂を走るときなど、状況に応じてシフトアップ・シフトダウンを行い、適切なタイミングで回転数を変える走り方を心がけましょう。
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まとめ 愛車にも「準備運動」をさせて寿命を延ばそう
今回はバイクの慣らし運転の必要性ややり方についてご紹介しました。
最近のバイクであれば、慣らし運転に神経質になりすぎる必要はありません。
しかし、慣らし運転は「バイクとライダーの準備運動」です。
例えば、運動不足のマラソン初心者がフルマラソンに挑戦して、良いタイムでの完走を目指すとしましょう。
ぶっつけ本番では筋肉痛や不整脈、靴擦れ、脱水症状、転倒・・・といったリスクがあるため、しっかりと準備しますよね。
バイク本来の性能をフルに発揮させて長く乗り続けたい、愛車の特徴を知って自分の体をバイクになじませたいという方は、まずは慣らし運転からスタートさせることがバイクのためにも自分のためにもなります。
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